【8月21日 AFP】米伝説的喜劇俳優のジェリー・ルイス(Jerry Lewis)さんが20日、死去した。91歳。代理人がAFPに明らかにした。ルイスさんの体を張ったコメディーは60年間にわたり、何百万人もの観客に愛され続けた。

 1950~60年代を代表する人気コメディアンのルイスさんは、『底抜け大学教授(The Nutty Professor)』などでドタバタ喜劇の道化役を極めた。また作家や慈善活動家としても活躍した。

 国内外で多数の受賞歴を誇り、1977年にはノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)候補にも選ばれたルイスさんは、喜劇俳優と傑出したキャリアを築く一方で、筋ジストロフィーに関する啓発活動にも熱心に取り組んだ。

 代表作には、『おかしなおかしなおかしな世界(It's a Mad, Mad, Mad, Mad World)』や、『底抜け慰問屋行ったり来たり(The Geisha Boy)』、『ファニー・ボーン/骨まで笑って(Funny Bones)』などがある。

 ルイスさんのほぼ半世紀にわたる総興行収入は8億ドル(約870億円)に達した。人気絶頂期の映画料金がわずか50セント(現レートで約55円)だったことを考えると、驚異的な額といえる。

 ルイスさんはコメディー以外の映画にも出演。1983年にはマーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督の『キング・オブ・コメディ(The King of Comedy)』でロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)と共演し、演技の幅を見せつけた。

 近年は健康問題に相次いで見舞われ、1982年に心臓発作を起こした際には臨床死を言い渡されたこともあったという。それでもできるだけ長く働き続けたいと意欲を持ち続けた。

 ルイスさんは2010年ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)のインタビューでこう語っていた。「いったん始めたものは終わらせなければならない。この世を去る前に終わらせたいんだ」(c)AFP/Rob Lever