【8月20日 AFP】米ホワイトハウス(White House)は19日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領とメラニア(Melania Trump)夫人が12月に行われるケネディ・センター名誉賞(Kennedy Center Honors)の授賞式を欠席すると発表した。1月の発足以降、政権が最も深刻な瓦解(がかい)の危機に直面する中、トランプ氏の授賞式欠席表明は首都ワシントン(Washington D.C.)でますます孤立を深める同氏の実情を改めて示すものとなった。

 ケネディ・センター名誉賞の授賞式は元来、政治とは無縁の格調高い行事だ。招待客はえんび服やロングドレスで正装し、米国の文化芸能分野で功績を挙げた人々に敬意を表する。首都ワシントンで1年の社交行事のハイライトとされる催しで、恒例としてバルコニーに着席する大統領夫妻は注目の的となる。40回目となる今年の授賞式は12月3日に行われる予定で、トランプ政権下での開催は今回が初めてだ。

 だが、前例がないわけではないにせよ授賞式欠席というトランプ大統領の決断は意表をつくものだ。

 大統領報道官によるとトランプ氏は、授賞式の進行が「政治的な阻害要因」なく行われるよう欠席を決めたという。同賞をめぐっては先に受賞予定者の一部が、ホワイトハウスで開かれる恒例のレセプションをボイコットする意向を示していた。

■トランプ氏に反発する芸術界

 トランプ大統領は今年4月にも、毎年恒例となっていたホワイトハウス記者会主催の夕食会を欠席している。その理由について当時のショーン・スパイサー(Sean Spicer)大統領報道官は、トランプ氏とメディアとの関係が冷え込んでいるためだと説明した。

 ケネディ・センター名誉賞授賞式への出席をトランプ大統領が取りやめたことで、芸術界とトランプ氏、さらにはワシントン主流派とトランプ氏とのあつれきが浮き彫りとなった形だ。

 トランプ大統領は3月に行った予算概要発表で、公共放送や全米芸術基金(NEA)への補助金撤廃の方針を示し、多くの芸術関係者の反発を招いている。

 今年のケネディ・センター名誉賞をめぐっても受賞者の一部は芸術に対するトランプ氏の認識は許容できないと公言。さらにバージニア(Virginia)州シャーロッツビル(Charlottesville)で12日に起こったネオナチ(Neo-Nazi)や白人至上主義者らと反対派との衝突事件について、トランプ氏が「双方に非がある」と発言したことから、受賞者らは同氏を強く批判している。(c)AFP/Brian KNOWLTON