【8月18日 AFP】国連(UN)は17日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が現在も支配するシリア北部ラッカ(Raqa)の一部地域について、同国内で「最悪の状況にある場所」との認識を示した。

 シリアでの人道問題に関する国連の責任者ヤン・エーゲラン(Jan Egeland)氏はスイス・ジュネーブ(Geneva)で記者会見を行い、「おそらく現在シリアで最悪の状況にある場所は、いわゆるISが依然支配するラッカの一部地域だ」と語った。

 国連によると、かつてシリアにおけるISの事実上の首都だったラッカ市内に、現在も最大で推定2万5000人の民間人が取り残されているという。

 エーゲラン氏は有志連合軍による「継続的な空爆」がラッカで行われていると指摘した上、米国が支援するクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」の戦闘員に民間人らが包囲されており、「ISによって人間の盾として利用されているものとみられる」との見解を示した。

 一方、在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、SDFは17日も有志連合軍の支援を受けて、ラッカの旧市街でISと戦闘を続けており、これまでのところ旧市街の70%を制圧したという。

 また同監視団は、米国主導の有志連合軍がIS戦闘員の掃討を目指しラッカで行った空爆により、14日以降に少なくとも民間人59人が死亡し、うち21人は子どもだったことを明らかにしている。(c)AFP