【8月18日 AFP】テニス、四大大会(グランドスラム)制覇の実績を持つスペインのラファエル・ナダル(Rafael Nadal)とガルビネ・ムグルサ(Garbine Muguruza)は、17日に母国のバルセロナ(Barcelona)で13人が死亡し、約100人が負傷した事件について戦慄(せんりつ)と悲痛の気持ちをあらわにした。

 観光客でにぎわう同市最大の繁華街ランブラス(Las Ramblas)通りで白昼に車が群衆に突っ込んだ今回の事件では、過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出し、警察はテロ事件として捜査を開始した。

 米シンシナティ(Cincinnati)で開催されているウェスタン&サザンオープン(Western and Southern Open 2017)に出場しているナダルは、自身のツイッター(Twitter)に、「バルセロナで起きた事件に打ちのめされた! 被害に遭ったご家族と街を全面的に支援する」と投稿した。

 この日は同胞のアルベルト・ラモス・ビノラス(Albert Ramos-Vinolas)との3回戦が雨で順延となった31歳のナダルは、今年のバルセロナ・オープン(Barcelona Open Banc Sabadell 2017)をはじめ、モンテカルロ・マスターズ(Monte-Carlo Rolex Masters 2017)とマドリード・オープン(Mutua Madrid Open 2017)でタイトルを獲得し、6月のローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)では通算10度目の優勝を果たしてグランドスラム15勝目を飾った。

 一方、先月のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2017)でタイトルを獲得した女子世界ランク6位のムグルサは、マディソン・キーズ(Madison Keys、米国)との3回戦が雨で2時間中断された際に事件のことを知ったと明かし、「信じられませんでした。あそこには何度も訪れていますし、たくさんの店があって人が集まる大きな通りですから」と語った。

「仏パリ(Paris)や英ロンドン(London)で事件が起きるたびに驚かされ、『うそでしょ』という感じでしたが、今回は自分が何度も訪れている地元のような場所で、まさに『うそでしょ』という気持ちになりました」

「これまで何度も行ったことがある場所なので、とても衝撃的でしたし本当にショックでした。現場にいた皆さんが本当に気の毒です。この事件はどこでも起きる可能性があり、運の悪いときに運の悪い場所で遭遇してしまったという感じです」

 ムグルサはまた、事件のことを知ってすぐに電話で家族の無事を確かめたとして、「雨で試合が中断したとき、何も知らずに音楽を聴いていました。そしてニュースを知って『えっ』と驚き、家族に連絡を取って無事を確かめましたが、本当に信じられませんでした」と振り返った。

■精神的ショック

 第3セットのゲームカウント2-2の場面で嵐により中断した試合に、精神的ショックをいったん忘れて戻ったムグルサは、相手のマッチポイントを3度しのいだ後、第12ゲームでブレークに成功して試合をタイブレークに持ち込んだ。

 そして6-4、3-6、7-6(7-3)で試合を制したムグルサは、「自分は雑念を打ち消してプレーに集中することに慣れています。心配事をいったん忘れてコートに出て、テニスに2時間集中することは、私にとって日常です」と語った。

 このほかのスペイン勢では、同大会に出場しているダビド・フェレール(David Ferrer)も8強入りを果たした試合後、「バルセロナの襲撃事件に遭遇した被害者の方々と心から連帯する。この出来事を本当に悲しんでいる」とツイッターに投稿した。

 さらにラモス・ビノラスも、「バルセロナで起きた事件を見て、本当に心が締め付けられている。自分の一部は、きょう皆さんとともにある。被害者のご家族にハグを」とつづった。(c)AFP/Jim SLATER