【8月18日 AFP】スペインのバルセロナ(Barcelona)で車が群衆に突っ込んで多数の死傷者が出た事件を受けて、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が行ったツイートが物議を醸している。1900年代初めにフィリピンで米将軍が行ったと誤って伝えられている残虐な処刑を引き合いに、イスラム過激派の大量処刑を支持するような内容だったからだ。

 バルセロナで17日に起きた襲撃では13人が死亡、100人余りが負傷した。トランプ氏はツイッター(Twitter)で、まずスペインに支援を申し出た。問題の投稿はその約1時間後だった。

「米国のパーシング(John J. Pershing)将軍がテロリストたちにやったことを勉強しろ。それから35年間、イスラム過激派のテロはなかった!」

 パーシング将軍とは、フィリピンでイスラム教徒が大半を占めるモロ(Moro)州を1909年から1913年まで統治していた人物。当時、フィリピンは米国の植民地で、パーシング将軍率いる部隊はイスラム教徒による暴動の鎮圧に当たっていた。

 トランプ氏が引き合いに出したのは、このパーシング将軍が、ムスリム民兵49人をイスラム教で不浄とされるブタの血に漬けた銃弾で処刑したという言い伝えだ。トランプ氏は大統領選の指名候補を争っていた2016年2月の集会でも、この件に言及していた。

 しかし歴史家たちはこの伝承に疑問を呈しており、そうした史実はないと明確に否定する人もいる。

 政治情報サイト「ポリティファクト(Politifact)」によると、軍事歴史家の故フランク・バンダイバー(Frank Vandiver)氏は2003年、パーシング将軍についてこう述べている。

「私は彼がモロで行ったことについて詳細な調査を行ったが、それ(大量処刑)が真実だと示すようなものは一つも見つからなかった。このような行為は、彼の性格に全くもって反する」(c)AFP