【8月22日 CNS】世界的に著名な低温医学専門家のアーロン・ドレイク(Aaron Drake)氏は14日、中国・山東省(Shandong)済南市(Jinan)で中国国内2人目となる人体冷凍保存の申請者に、人体冷凍保存のための手術を行ったと発表した。

 人体冷凍保存の申請者は49歳女性で、肺がん患者だった展文蓮(Zhan Wenlian)さん。人体冷凍保存の手術は山東省銀豊生命科学研究院(Yinfeng Institutes for Biological Sciences)と山東大学齊魯医院(Qilu Hospital of Shandong University)が共同で行い、展さんの臨死宣告後の2017年5月8日午前4時ごろから実施され、手術時間は約60時間以上に及んだ。  

 展さんの主治医は法定の手順に基づいて臨床死を宣告後、展さんの体の生理機能を維持するための処置を施した。展さんの遺体は専用救急車で銀豊生命科学研究院の低温医学研究センターへ移送され、灌流置換手術が行われた。手術終了後、展さんの遺体は大スパン自動プログラム冷却装置の中に移されると、降温を始めた。数十時間後、遺体の内外温度は共にマイナス190℃以下に安定した。

 5月10日夕方、展さんの遺体は、マイナス196℃を安定維持できる液体窒素容器の中へ順調に移された。

 ドレイク氏は、2009年に世界最大の人体保存機構のクリニカルレスポンスセンターの主任として迎えられ、7年間に70件以上もの人体保存手術を行った。また、ドレイク氏のチームは2015年5月に北京(Beijing)で、中国初の人体冷凍保存の申請者で重慶(Chongqing)の女性作家杜虹(Du Hong)氏の死後、大脳の冷凍保存手術を実施している。

 アーロン・ドレイク氏は、現在の医療技術では治療できない「不治の病」も、医療技術が将来発展すれば、治療できるようになるかもしれない、と語った。

 展さんの夫の桂軍民(Gui Junmin)さんは取材に対し、「人体冷凍保存を選択したのは妻との合意。妻は生前、公益事業に熱心で、遺体を科学研究に使ってほしいと希望していた。2人とも人体冷凍保存は有意義な医学研究だと思っている。いつの日か、肺がんが治療できるようになったら、妻の病気を治してほしい」と話した。(c)CNS/JCM/AFPBB News