【8月16日 AFP】米労働総同盟産別会議(AFL-CIO)のリチャード・トラムカ(Richard Trumka)会長は15日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の助言機関「米製造業評議会」のメンバーを辞任すると明らかにした。バージニア州シャーロッツビル(Charlottesville)で白人至上主義者らと反対派が衝突した事件をめぐり、トランプ氏の対応は「偏狭な考えや国内のテロリズム」を容認したようなものだと批判した。今回の対応に反発した同評議会からの辞任は5人目となった。

 トラムカ氏は声明で「偏狭な考えや国内のテロリズムを容認するような大統領のための評議会に属することはできない」と述べ、即時の辞任を表明した。

 トランプ大統領は同日、今回の事件に対する自身の反応について質問した記者らに対し、「双方に非がある」と怒りをあらわに反論していた。

 トラムカ氏はこの発言に言及し、「きのう(14日)、クー・クラックス・クラン(KKK)やネオナチについてやむを得ず言った(非難の)言葉を否定したものだ。われわれは、こうした偏狭なグループにいかなる正当性も認めない米国の労働者のために辞任しなければならない」と述べた。

■CEOも続々辞任

 トランプ大統領が設置した製造業評議会からは同日これに先立ち、米製造者連盟(AAM)のスコット・ポール(Scott Paul)会長も辞任していた。

 前日には製薬大手メルク(Merck)のケン・フレージャー(Ken Frazier)最高経営責任者(CEO)、スポーツ用品大手アンダーアーマー(Under Armour)のケビン・プランク(Kevin Plank)CEO、半導体大手インテル(Intel)のブライアン・クルザニッチ(Brian Krzanich)CEOも辞任を表明している。メルクのフレージャー氏はアフリカ系米国人。

 トランプ氏は死傷者が出たシャーロッツビルでの事件について当初、白人主義者への直接の非難を避け、批判を集めていた。

 AAMのポール氏はツイッター(Twitter)に「これは正しい行動だ」と書き込んだ。

 批判されれば黙っていないトランプ大統領はツイッターで反論を展開。「製造業諮問委員会を抜けるCEOがいても代わりは大勢いる」「スタンドプレーをするだけの人は残ってくれなくて結構だ。仕事だ!」と書き込んだ。

 トランプ氏が減税を含む成長促進策を着実に進めるとの期待から、6月には米企業のCEOは先行きにここ3年で最も明るい見通しを持っていた。しかしハネムーンの期間は明らかに終わり、大手企業はトランプ氏に愛想をつかし始めている。(c)AFP