【8月22日 CNS】中国最大のシンクタンクCCG(Center for China and Globalization)は12日、「2017中国に帰国した留学生の就職・起業調査報告」を発表した。報告によると、中国の経済と社会の急速な発展による「人材磁石(優秀な人材を引き寄せる)」効果がプラスの役割を果たす一方、帰国した留学生層の急速な増加によって、就職の競争はさらに増大した。

 中国教育部のデータによると、2017年度の中国の大学卒業生は推計で約795万人で、前年より30万人増加した。これに対し、2017年留学生帰国サービス合同会議の発表によると、中国へ帰国した留学生の総数は2016年末の時点で265万1100人にも達し、2016年だけでも43万2500人の中国人留学生が帰国したという。

 報告書によると、北京市(Beijing)出身の帰国留学生が比較的多く、同市と上海市(Shanghai)、広州市(Guangzhou)出身の帰国留学生は、出国時の学歴が大卒、海外留学で取得した学位は修士号が最も多い。専攻としては商科が圧倒的に多い。留学先の国別では、イギリスや米国が中心だ。帰国した留学生の46.3%は明確なキャリアプランを持ち、過半数が留学経験が昇進において有利だと考えている。

 就職については、帰国留学生の9割近くが帰国してから半年以内に仕事を見つけた。就職先はIT、通信、電子、金融に集中しており、個人経営企業と民間企業が帰国留学生の最大の受け皿となっている。職位では営業職や技術職が一番多く、仕事の内容が留学時の専攻との関連が低く、月給が期待を下回った割合は68.9%に達した。

 帰国後に起業した者についても触れられている。帰国留学生起業者がより重視するのは、家族との団らんと中国国内の潜在的な発展力であるといい、起業分野は革新的技術とサービス業に集中している。北京市は依然として帰国留学生起業者が優先する都市で、その他、成都市(Chengdu)や武漢市(Wuhan)など地方都市も自身の特色で帰国留学生を引き付ける傾向が現れてきている。急速な経済発展と人脈は帰国留学生が起業都市を決める重要な考慮要素の一つだ。

 帰国留学生の起業資金は、主に個人預金や親・親戚からの借金と銀行ローン。顧客資源と情報資源は帰国留学生が国内で獲得し得る2つの重要な起業資源で、6割近くの企業はまだ収益を得ていない状態だ。過半数の帰国留学生起業者が起業の失敗経験を持っており、経験不足が起業失敗の主要原因だという。運営コストが高いことも大きな壁となっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News