【8月15日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)、シアトル・シーホークス(Seattle Seahawks)のDEマイケル・ベネット(Michael Bennett)が、人種差別や不寛容社会への抗議を喚起するためとして、試合前の国歌演奏で起立しないことを表明した。

 現在フリーエージェント(FA)となっているQBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が昨季、多くの物議を醸しながら示した抗議行動にならい、ベネットは13日に行われたプレシーズンゲームのロサンゼルス・チャージャーズ(Los Angeles Chargers)戦において、試合前の国歌演奏でひざまずくことを選択した。

 この前日には、オークランド・レイダース(Oakland Raiders)のRBマーショーン・リンチ(Marshawn Lynch)も、アリゾナ・カーディナルス(Arizona Cardinals)とのプレシーズンゲームで、膝をついたまま国歌演奏に耳を傾けていた。

 一連の抗議行動は、バージニア(Virginia)州シャーロッツビル(Charlottesville)で12日、白人至上主義者をはじめ、ネオナチ(Neo-Nazi)やクー・クラックス・クラン(KKK)などの過激団体が集会を開いたことによって発生した暴動を受けたものとなっている。

 31歳のベネットは、自身の抗議行動が米軍を軽視するものだと批判する声に対して、「まず第一に、私が軍を敬愛していることを理解してもらいたい」とすると、「父は軍人だ。それに自分はみんなと同じようにホットドッグが大好きだし、米国人らしくフットボールを愛している。しかし、人種差別や暴動、それに迫害は大きらいだ」と反発した。

「自分はただ、人々には平等の権利があることを望んでいるだけだ。そしてこうした行動によって、そのメッセージを訴え続けていけるようにしたい」

 抗議計画について事前にシーホークスの経営陣には通知していなかったものの、ベネットは批判に直面しようとも行動を続けていくと心に誓っており、「私のことを家で批判する人は大勢いるだろう。しかし、彼らは自分たちが弱者の立場になり得ることを理解しようとしていないんだ」と語った。

「私を批判したいならそうさせておけばいい。なぜなら、彼らには私の信条が理解できないからだ。しかし、私は攻撃の対象になったとしても、自分が信じることのために闘い続けていくことを人々に示していく。平等のため、迫害されている人々のため、そして社会を変えるために闘い続けよう」

 サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)の元QBとして活躍していたキャパニックは昨季、警察のマイノリティー(少数派)に対する扱いに注意を引くため抗議行動を展開した。

 それ以降、キャパニックは所属チームを見つけることができない状態に陥っており、多くの選手や評論家からは、同選手が抗議行動の報復を受けてリーグから締め出されているという批判の声が続出している。

 オフシーズンにはキャパニックと一緒にトレーニングを行い、権利を喚起するための運動を繰り広げていたベネットは、13日の試合後、「私がはたらきかけることによって、誰もが自由にコミュニティーに入って互いに助け合えるようにしていけることを望んでいる」と語った。

「違う性別、違う人種、違う宗教の人たちと話し合って互いの違いを理解していくことだ。そして一緒のコミュニティーで暮らし、社会を変えようと努力し、自分の周囲を変えていく。おかしいと思うなら、変え続けていくんだ」 (c)AFP