【8月15日 AFP】米バージニア(Virginia)州で白人至上主義者らが開いた集会で、参加者と反対派の衝突により死傷者が出た事件を受け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は14日、人種差別主義を糾弾し、クー・クラックス・クラン(KKK)やネオナチ(Neo-Nazi)を名指しで非難した。トランプ氏は事件後、問題の集会を明確に非難すべきだとの圧力を受けていた。

 事件は同州シャーロッツビル(Charlottesville)で12日に発生。南北戦争(American Civil War)で南部連合(Confederate States of America)を指揮した将軍の像の撤去をめぐり、ネオナチや白人至上主義者らが暴力的な集会を開いた際、人種差別反対を訴えるデモ隊にナチス・ドイツ(Nazi)同調者とされる男の車が突っ込み、女性1人が死亡、19人が負傷した。

 集会現場で起きた乱闘騒ぎの当事者の中には、トランプ氏の名入りの帽子やTシャツを着用していた者もいた。事件発生当日、ニュージャージー(New Jersey)州に自身が所有するゴルフリゾートに姿を見せたトランプ氏は、事件に関係する「各方面」を非難すると発言したものの、白人至上主義者の名指しは避けていた。

 トランプ氏の反応に対しては、民主・共和両党から強い批判の声が集中。14日には、米製薬大手メルク(Merck)の最高経営責任者(CEO)でアフリカ系米国人のケン・フレージャー(Ken Frazier)氏が、トランプ大統領の発言に抗議し、大統領が設置した製造業諮問委員会の委員を辞任した。

 同日にジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)司法長官と連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官との協議を行ったトランプ氏は、事件についてこれまでよりも厳しい姿勢を示した。

 大統領は両長官との協議の後、全米にテレビ放映された演説で「偏狭の名の下で暴力を広める者は、米国のまさに根幹を攻撃している」と表明。

 さらに「人種差別は悪だ。差別主義を標榜して暴力に訴える者は犯罪者であり悪人だ。KKKやネオナチ、白人至上主義者などのヘイト(憎悪)団体を含むこうした人々は、米国人が大切にするあらゆるものに矛盾する」と続け、「先週末の人種差別的な暴力事件で犯罪行為に及んだ者は全員、全面的に責任を負うことになる。正義が下されるだろう」と言い渡した。(c)AFP/Sébastien BLANC/with Jerome Cartillier in New York