【8月14日 AFP】陰鬱なタイの刑務所生活を輝かせるため、ポーンティップ・マンコン(Prontip Mankong)さん(29)と女性受刑者の仲間たちは、こっそりと台所から食用色素を持ち出し、ワセリンと混ぜ合わせ、手作りのリップグロスを作っていた。タイ王室を侮辱したとして不敬罪で2年間服役した後、元政治犯のポーンティップさんは今、刑務所の門の外側にいる。

 彼女はあの時と同じクリエーティビティーをもって、殺風景なことで悪名高いタイの刑務所にいまだいる女性たちのためにリサイクルの化粧品を作っている。世界の中でもタイは女性の収容率が高く、刑務所は受刑者であふれている。

「自由が制限された場所で、あのリップグロスは我々に自信と自己表現の感覚を取り戻させてくれた」とポーンティップさんは語る。彼女は風刺劇で演じた役が「王室をばかにしている」と当局にみなされ、投獄された。

 最近のある日曜日の午後、ポーンティップさんとほかの元受刑者らは、寄付された何千本もの口紅の上部をそぎ取り、色ごとにバスケットに仕分けした。それらの口紅は、きらきらとしたピンクとマゼンタの液状になるまでストーブの上で煮詰められる。そして小さな容器に注がれ、冷ましてから女性刑務所へと寄付されるのだ。