【8月13日 AFP】インドで3月以降に15人の犠牲者を出した「殺人ゾウ」を射殺した同国随一のハンターが12日、その「狩り」の一部始終をAFPに語った。

 射撃の名手であるナワブ・シャファト・アリ・カーン(Nawab Shafat Ali Khan)氏は11日に当局から殺人ゾウの処分を依頼されて、その数時間後に見事仕留めたという。12日は「世界ゾウの日(World Elephant Day)」だった。

 カーン氏はゾウを至近距離で撃った。ゾウは倒れる前にその鼻を狩猟者たちに向けて振り回そうとしたため、カーン氏は2発目を放たざるを得なかったという。

「あの鼻が当たったら死んでいたかもしれない。危険な作戦だった」と、東部ジャルカンド(Jharkhand)州でゾウを仕留めたカーン氏は語った。

 問題のゾウは3月に東部ビハール(Bihar)州で4人を踏みつけて死亡させた後、隣のジャルカンド州へ移動してさらに11人の命を奪った。群れから外れ、迷子になったとみられている。

 今回の作戦が行われたのは少数民族パハリア(Paharia)人が暮らしている地域。インドの少数民族の居住地域の中で最も経済的に立ち後れた場所の一つとされている。

 森林当局者や村人など約100人が今回の狩猟作戦に参加したが、射撃が認められていたのはカーン氏だけだった。カーン氏はこれまでに政府が認可した狩猟作戦に24回参加していた。

 インド環境省は、危険な動物との遭遇により国内で毎日1人が死亡していると推定している。その大半の原因はゾウだという。専門家らによれば、人間の入植と工業化で森林がなくなる中、ゾウと人間の危険な遭遇は増加している。(c)AFP/Jalees ANDRABI