■中印で「領有権」争いも

 チベット医学の教説は、およそ2000巻の教本や、あらゆる精神療法家の守護者とされるブッダの教えに含まれており、チベットが発祥の地と考えられている。

 一方で、チベット医学は中国とインドの古代療法の要素も入っている。ここへきて、知る人ぞ知る伝統療法から人気の代替治療へと急速に進化を遂げるなか、両国が「領有権」を争う事態にもなっている。

 インドと中国が今年4月にそれぞれ、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)に対してチベット医学を無形文化遺産に登録するよう申請したのである。

 中国は1951年にチベットを支配下に置き、ダライ・ラマは1959年にインドに亡命した。中国はインドが亡命政権の本部をマクロードガンジ(McLeodganj)地区に設立する許可を与えたことに激しく反発。以来、両国の間では数えきれないほどのいさかいが起きている。