【8月9日 AFP】紛争が続く中央アフリカで、過去数週間に赤十字(Red Cross)職員を含む少なくとも60人が殺害されたもようだ。AFPが国内各地の目撃者証言を基にまとめた。国連(UN)は「大虐殺(ジェノサイド)の初期兆候がみられる」と警鐘を鳴らしている。

 8日までに集まった目撃者情報によると、北部のニョーンデイ(Ngaoundaye)とバタンガフォ(Batangafo)、中部のカガバンドロ(Kaga-Bandoro)、南部のアリンダオ(Alindao)とガンボ(Gambo)で武装集団の衝突が続いており、数週間で少なくとも計60人が死亡したとみられる。

 中央アフリカでは2013年、キリスト教徒のフランソワ・ボジゼ(Francois Bozize)大統領がイスラム教徒中心の武装勢力連合「セレカ(Seleka)」によって失脚させられたのを機に宗教対立が激化。武装集団による現在の衝突の主な背景となっている。

 武装集団は金やダイヤモンドといった天然資源、紛争後の地域での影響力の確保を求めて争っている。紛争ではこれまでに、人口450万人の国民のうち50万人が避難民となっている。

 AFPの取材に応じた地元赤十字のアントワーヌ・ムバオ・ボゴ(Antoine Mbao Bogo)代表によれば、ここ数日の間にガンボの医療センターで「数十人」が虐殺され、その中には赤十字から派遣された職員少なくとも3人が含まれているという。

「(こうした事態では)通常、遺体を埋葬する赤十字が死者数を報告しているが、赤十字の職員が殺されたらそれすらできなくなる」と同氏は懸念を示している。

 ガンボで起きた襲撃の状況については明らかになっていない。首都バンギ(Bangui)以外の地域では政府も軍も実質的に機能していないため、死傷者の実態を確認することは難しくなっている。

 国連のスティーブン・オブライアン(Stephen O'Brien)緊急援助調整官(人道問題担当国連事務次長)は7日、米ニューヨーク(New York)で開かれた国連の会議で、中央アフリカについて「ジェノサイドの初期兆候がみられる」と述べ、手遅れにならないように直ちに行動する必要があると訴えた。(c)AFP/Amaury HAUCHARD