【8月8日 AFP】米グーグル(Google)は7日、IT業界にリーダー的存在の女性が少ないことには「生物学的原因」があると内部文書で主張した男性従業員を解雇した。複数のメディアが報じた。

 ソフトエンジニアの男性は流出した文書の中で、「男性と女性で選好の分布や能力に違いがあることはある程度、生物学的原因に由来するもので、そうした違いがあるためにIT業界およびリーダーとして(男性と)同等の女性の代表者が存在しないことを説明できる可能性がある」と主張していた。

 この文書の存在が明るみに出たことにより、IT業界の性差別的な文化や多様性の欠如についてくすぶってきた議論が再燃。しかし、男性が解雇されたことで、グーグル社員の発言の自由が同社のいわゆる「ポリティカル・コレクトネス(偏見や差別を含まない中立的な発言や行動)」により阻害されたのではないかと、新たな論争を巻き起こす展開となっている。

 グーグルはAFPの取材に対し「個別の従業員の案件にはコメントできない」と回答した。

 AFPが入手したスンダル・ピチャイ(Sundar Pichai)最高経営責任者(CEO)の従業員宛てメールによると、ピチャイ氏は内部文書に書かれていたことの多くは議論に値するとの考えを示し、社員が自由に発言できる権利を擁護した。

 ただ、ピチャイ氏は「文書の一部は社の行動規範に抵触しており、職場における有害な性別の固定観念を推進している点で一線を越えている」と指摘。「同僚の一部が生物学的に仕事により適さない特徴があると示唆することは侮辱的で、容認されることではない」と批判した。

 またピチャイ氏は、社の行動規範は「いやがらせ、威圧、偏見、違法な差別のない文化」をつくるため社員に最善を尽くすよう求めていると説明している。(c)AFP/Glenn CHAPMAN