【8月8日 AFP】カナダ国内で遺伝子組み換えであることを表示していないサケが流通しているとして、環境保護団体が7日、スーパーマーケット各社に販売中止を要請した。

 カナダ保健省とカナダ食糧検査機関(CFIA)は5月、3年間の試験期間を経て遺伝子組み換えのサケは「従来のサケと安全面と栄養面で変わらない」という判断を下した。この結果を受けて米バイオテクノロジー企業「アクアバウンティ・テクノロジーズ(AquaBounty Technologies)」は今月4日、同国に遺伝子組み換えサケの切り身を約5トン販売したことを明らかにしていた。

 環境保護団体「ビジランスOGM(Vigilance OGM)」は、遺伝子組み換え動物がカナダの市場に出回った初のケースとして、「カナダの消費者は知らないうちにモルモット第1号にされている」と非難。遺伝子組み換え食品などの調査や監視を行っている団体「カナディアン・バイオテクノロジー・アクション・ネットワーク(Canadian Biotechnology Action Network)」は、「遺伝子組み換えサケの流通先を把握しているのはアクアバウンティ・テクノロジーズ社だけだ」と主張している。

 遺伝子組み換えサケはパナマで養殖されているが、アクアバウンティ・テクノロジーズ社はカナダ東部のプリンスエドワード島(Prince Edward Island)でも行う計画を進めており、同地域での養殖施設の建設をめぐって地元政府と合意に達している。ただし、保健省からはまだ認可が下りていない。

 天然のアトランティックサーモンが成魚になるまでは30か月要するが、アクアバウンティ・テクノロジーズ社の遺伝子組み換えサケの場合は16~18か月で成長する。同社のサケは、アトランティックサーモンにキングサーモンの成長遺伝子を組み込んだもの。

 消費者団体や環境団体は、大手のスーパーマーケットチェーンに対し、遺伝子組み換えのサケを販売しないよう説得を試みてきた。

 会員制倉庫型ストアの米コストコ(Costco)は2016年、遺伝子組み換えサケを販売しない方針を示している。(c)AFP