【8月6日 AFP】ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で5日、軍と警察の計約5000人が市内のスラム街5か所で反社会勢力の大規模な取り締まりを行った。リオデジャネイロ州の治安当局が発表した。リオデジャネイロ五輪の開幕から1年のこの日、戦闘地帯さながらの様相を呈した現場もあった。

 軍の兵士約3600人と警察官約1300人を動員して午前4時(日本時間同日午後4時)に始まった作戦は、商用トラックを狙った大胆な強盗事件の背後にいる反政府勢力の取り締まりが主な目的で、40人に逮捕状が出た。州治安当局はトラックの貨物が奪われる事件が昨年約1万件発生したとしている。

 州治安当局のトップによると、同日夜までに23人が逮捕され、3人が治安部隊との「衝突」で死亡した。また、自動車21台や武器、薬物、トラックから盗まれた貨物が押収された。

 武装した大規模な治安部隊を市内有数の危険地区に投入することを容認した今回の判断は、五輪後に財政がほぼ破綻したリオ州が収拾のつかない状態に陥りつつあるとの不安を反映している。リオ市に先月、約8500人の兵士が配備され、資金難のため警察にはもはや対応能力がないことが事実上認められた形になっていた。8500人の兵士の一部が5日の作戦に参加した。

 秩序だった軍の展開やその頼もしい武力に安心感があるという向きもある。ブラジル国内の政治や経済が混乱している時、軍は国内で最も信頼できる組織だといわれるのが常だ。

 今年上半期にリオ州で起きた殺人事件は3457件と、2009年以降で最悪の水準になっている。(c)AFP/Sebastian Smith