【8月5日 AFP】今年4月、ニュージーランドのオークランド(Auckland)で行われたアイスホッケーの国際大会で、使い古した木製のスティックを持参した北朝鮮チームが主催者側からハイテクのカーボンファイバー製スティックを提供されたものの、国連(UN)の経済制裁に抵触する恐れがあることから、帰国前に返却を余儀なくされていたことが分かった。

 北朝鮮の核・弾道ミサイル開発を止めるための国連の経済制裁の一環として、同国へのぜいたく品の輸出は禁止されている。

 しかし北朝鮮は、7月28日に2度目の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を実施。またスポーツに関しても強気な姿勢を崩していない。

 オークランドで開催された大会に同行していた北朝鮮体育省の職員、ジョン・カンリム(Jong Kwang-Rim)氏は、スティックを返却しなければならないという判断について、無駄だとして抗議した。

 カンリム氏は、スティック返却は「敵対する米国」のせいだと非難。北朝鮮はこんなことでひるむような国ではないと主張した。北朝鮮はこれまでにも同国に対する国連の対応を米政府のせいにしてきている。

 昨年3月、国連安全保障理事会(UN Security Council)で北朝鮮に対する制裁決議案が新たに採択され、「娯楽用のスポーツ用品」を含め、輸出禁止のぜいたく品の範囲は拡大された。アイスホッケーのスティックをめぐる判断はこうした措置によるものだ。

 ニュージーランド・アイスホッケー連盟(NZ Ice Hockey Federation)の代表で、大会の責任者を務めたジョナサン・オルブライト(Jonathan Albright)氏はAFPに対して、「北朝鮮チームはスティックをニュージーランドから持ち出すことを禁じられた」と述べた。

 オルブライト氏は、北朝鮮チームは帰国する前に当局からチョコレートやリンゴも没収されたことについても把握していると話し、さらに、バッジやペナントも同様の扱いを受けるため、北朝鮮チームはそうしたものを他の大会参加チームと交換しないようくぎを刺されていたと付け加えた。(c)AFP/Sebastien BERGER, with Neil SANDS in Wellington