【8月4日 AFP】2011年にカナダの鉱山で格別に保存状態の良い化石が発見されたが、1億1000万年前に生きていたこの恐竜が当時、大きな困難に直面していた証拠が3日、研究論文で発表された。今回の研究でこの恐竜の正式な学名も決定したという。

 表皮とうろこが化石化して残っていたドラゴンのようなこの恐竜は、ノドサウルス科の新種。学名は博物館技師のマーク・ミッチェル(Mark Mitchell)氏にちなんだ「ボレアロペルタ・マークミッチェリ(Borealopelta markmitchelli)」とされた。ミッチェル氏は化石標本の周囲から慎重に岩石を取り除くのに7000時間以上を費やした。5月に初めて一般公開された際にはまだ正式な学名が決まっていなかった。

 米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された論文は、この化石を「よろい竜(曲竜類)の化石としてはこれまでに発見された中で最高の状態を保っており、世界で最も優れた恐竜標本の一つ」と表現している。

 全長5.5メートルに及ぶこの恐竜は2011年、カナダ・アルバータ(Alberta)州にある石油会社サンコール(Suncor)のミレニアム鉱山(Millennium Mine)で働いていた重機オペレーターのショーン・ファンク(Shawn Funk)さんによって最初に発見された。

 完全な個体の推定体重は1300キロ以上だが、回収されているのは体の一部で、口先から腰部までの部分だ。骨やその破片からなる大半の恐竜標本とは異なり、この化石は立体で、体を覆ううろこ状の皮膚が残されている。