【8月6日 CNS】中国・重慶市(Chongqing)朝天門(Chaotianmen)卸売市場には、76歳になる「高齢棒棒(棒棒とは天秤棒で荷物を運ぶ運び屋)」がいる。市場の中ではみんな彼のことを「唐おじいちゃん」と親しみを込めて呼んでいる。

 10数年前、唐おじいちゃんは病気で亡くなった娘婿の代わりを務めるために重慶にやって来た。娘とコンビを組み、市場内の運び屋で生計を立てている。今となっては重慶の「棒棒」たちの年齢もだんだん高くなり、この仕事を継ぐ若い人も現れないため、街の人たちは棒棒がいつかいなくなってしまうのではないかと心配している。

 唐おじいちゃんは1941年生まれの76歳。本人曰く、おそらく重慶では最高齢の棒棒だという。夫を亡くした娘を心配して、重慶に来たのだという。娘との暮らしを支えるため、娘とコンビを組んで「高齢棒棒」となった。娘が商店と交渉して仕事を受け、包装などを担当。唐おじいちゃんがそれを運ぶ。

 多少歳は取っているが、唐おじいちゃんはまったく衰えていない。最近では中国のモバイル決済の勉強も始めた。孫にアリペイ(Alipay)の使い方を教えてもらった。支払い用のQRコードをプリントアウトして持ち歩き、客の支払いを便利にすると同時に、偽札をつかまされる危険もなくなった。市場の中の商店でも、アリペイでの取り引きが増えてきている。

 唐おじいちゃんの2人の孫も今では成人し、仕事もある。それでも唐おじいちゃんが棒棒の仕事を辞めないのは、未だ裕福とはいえない娘と2人の暮らしを、孫に負担をかけずに支えていくためだ。唐おじいちゃんはとても健康だが、突然仕事を辞めてしまったら一気に老け込んでしまうのではないか、それなら外に出てブラブラしていたほうがましだ、という考えからだそう。

 唐おじいちゃんは倹約家で、普段はあまりお金を使わない。稼いだお金はすべて娘が管理している。ほとんどは娘の子供たちのために使われている。「いつ辞めるかなんて考えたこともないよ。とにかく働けるうちに働く」と唐おじいちゃんは語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News