【8月3日 AFPBB News】「チャッ、チャッ」と約50人の円陣を組んだ男性が合唱し、16ビートの激しいリズムに合わせて上半身裸の体を揺らす──。東京都新宿区の新宿三井ビルディングで6日まで、インドネシア・バリ(Bali)島の伝統舞踊「ケチャ」をはじめとする世界の伝統芸能を紹介する「芸能山城組ケチャまつり(Cak Festival)」が開かれている。夕闇のオフィスビルは、たちまち異国の舞台へと様変わり。異国の風に誘われるかのように、道行く人が足を止め、祭りを楽しんでいた。

 1976年以来毎年開かれ、今年で42回目。世界各国の民族音楽を上演するパフォーマンス集団「芸能山城組(Geinoh Yamashirogumi)」が主催する。開催当時は、日本が「西洋文明」に追いつこうとしていたが、「いずれ西洋中心のものが破綻してくると考えていた。しかし西洋の音楽以外にも、多様な音楽や文化があることを身をもって示そうと、近代的な空間にまつりを作り出した」と実行委員会の本田学(Manabu Honda)さん(53)。初日家族と訪れた春風亭伝枝(Shunputei Densi)さん(45)は「ものすごくしっかり現地の芸能を新宿で再現していてすごい」と感想を漏らす。

 今年は、小学生から70代までの約100人がケチャまつりに参加するなど、新しい世代の仲間も加わった。また、本番に向け、昨年も現地のバリ島で直々に指導を受けたと言う。「世界中の優れた文化に目を向けてもらいたい。良さを知ることが、多様性を大切にすることや地球のことを考えることにつながる」と本田さん。

 イベントでは、バリ島の巨竹アンサンブル「ジェゴグ」の演奏や、銅鑼(どら)や鍵盤打楽器による合奏「ガムラン」、東北地方の太鼓芸能やブルガリアやジョージア(旧グルジア)の合唱曲なども披露される。入場は無料。(c)AFPBB News