【8月20日 AFP】車いすの若者たちのために約20年にわたって仕事をしてきたマリオ・ビジェンティーニ(Mario Vigentini)さん(45)は、使用者と立っている人が同じ目線になれる車いすを開発し、車いすの人々の生活の質を革命的に向上させたいと考えてきた。

 ビジェンティーニさんは、電動立ち乗り二輪車「セグウェイ(Segway)」から着想を得て、中腰の高さで利用でき、手を使わずに操作できる車いす「マリオウェイ(MarioWay)」を開発した。座面の位置を高くしたことで、「マリオウェイ」の使用者はバーのカウンターで飲み物を頼んだり、棚の高い場所から本を取り出したりできる。

 マリオウェイの開発にあたってビジェンティーニさんは「人間工学に基づいて作られたシートをセグウェイに乗せてみたら…」というアイデアを思い付いた。マリオウェイは、座った際に上半身がまっすぐに起きるため、従来の車いすでは使わない筋肉を鍛えることもできるという。

 マリオウェイの最高速度は時速20キロで、1回の充電で30キロまで移動可能なバッテリーを搭載している。また「体の位置を読み取るセンサー」を装備しており、「上半身を少し前に倒すと少し前進する」といったように、体に合わせて動くようになっている。

 数週間前に発売されたマリオウェイの価格は1万9300ユーロ(約250万円)。現在、一般的に使われている電動車いすの価格帯である1500ユーロ~3万ユーロ(約19万~380万円)と比べて決して安くはない。

 ただし、ビジェンティーニさんは将来的には価格を1万ユーロ(約130万円)ほどに下げたいと考えている。そしていつか、障害のない人々も町中などを移動する手段としてマリオウェイを使ってくれることを期待している。(c)AFP/Céline CORNU