【8月1日 AFP】陸上界のレジェンド、ウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)が第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)で有終の美を飾ってその輝かしいキャリアに別れを告げる決意をする一方で、カナダのアンドレ・ドグラス(Andre de Grasse)は何としても主役の座に躍り出たいと考えている。

 2015年に750万ポンド(約11億円)に加えて、最大で2000万ポンド(約29億円)のボーナスもつくと伝えられた破格の契約を結んだ22歳のドグラスは、リオデジャネイロ五輪の銅メダルに輝いた男子100メートルと、銀メダルを手にした200メートルで昨年を上回る成績を目指している。

 息子が陸上の夢を追求するのを助けるため、母親が仕事を掛け持ちしていたというドグラスは、契約をオファーしてきたのがボルトにキットを供給している独スポーツ用品大手プーマ(Puma)だったこともあり、重圧にさらされていることを認めている。

 ドグラスは31日付けの英紙デーリー・メール(Daily Mail)に対し、「偉大なウサイン・ボルトに代わるためには、自分がどういうことに直面するのか分かっていた。少しためらいもあった。誰もが不安に陥る。考えたのは、『自分が状況に対処して重圧を受け止めることができるか?』ということだった」と語った。

 ドグラスは5日に行われる100メートルの決勝に進出すれば、200メートルには出場しないボルトが世界陸上で通算12個目の金メダルを獲得するの阻止する機会が巡ってくる。

■「ライバル関係にはない」

 バスケットボールをやっていて陸上の世界に進んだのは17歳のときだったドグラスは、ボルトを倒してはじめてライバルと呼べると話し、「ライバル関係にはない」と語っている。

「彼は長い間陸上界を席巻してきた。自分はまだ彼を倒したことはないが、ぜひとも勝ちたい。ライバル関係を築くためには、抜きつ抜かれつの関係になる必要がある。彼は雲の上の存在でベテランだ。僕は自分自身で向上していく努力をしている」

 今季その速さをみせつけているドグラスは、ダイヤモンドリーグ2017(IAAF Diamond League 2017)第6戦のストックホルム大会(Bauhaus-galan 2017)100メートルで、追い風参考ながら9秒69を記録している。(c)AFP