【8月1日 AFP】2015年に採択された地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」では、世界の平均気温上昇を2度未満に抑える目標が掲げられたが、これが実現する可能性は5%とする研究論文が7月31日、発表された。

 世界196か国が参加する同協定では、上昇幅1.5度の努力目標も掲げられた。しかし英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された研究は、この実現可能性はわずか1%にすぎないとしている。

 今回の研究では、人口増加予測値を用いて、今後の化石燃料の生産量やその燃焼で発生する炭素排出量を推算した。

 これらのデータから、「世界の気温上昇の範囲は2~4.9度になると予想される。中央値は3.2度で、目標の2度未満を達成できる可能性は5%」と論文には記された。

 これらの数値は、エネルギー消費を抑制しない場合の最悪のシナリオでの予測値をベースにしたものではなく、温室効果ガス排出量削減のための政策の影響を踏まえたものだと同研究チームは説明。「上昇値を1.5度未満に抑える目標の達成には、炭素強度を近年よりもはるかに速いペースで低下させる必要がある」ともしている。

 第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)では、壊滅的な海面上昇や干ばつ、暴風雨、その他の気象への悪影響を避けるため、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2度より「十分に低く」、できれば1.5度程度に抑えるよう努力することで合意した。

 国連(UN)は、世界人口は現在の約75億人から2100年までに112億人に増加すると推計しており、エネルギー資源がさらにひっ迫する恐れを指摘している。(c)AFP