【8月2日 AFP】北朝鮮による先週末の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を受け、専門家らはミサイルの射程には米ニューヨーク(New York)も入る可能性があるとの見方を示している。若者にとっては現実離れした考えのようだが、冷戦(Cold War)を経験し、核シェルターが身近だった年配の世代にとっては当時を想起させる状況となっている。

  旧ソ連の末期や崩壊後に生まれた多くの人たちにとって、自らが差し迫った脅威にさらされているというシナリオを思い描くのは難しい。台湾で生まれ米国で育ったピーターさんは「韓国には米軍基地があるし、ミサイル防衛システムもある。過剰な心配はしていない」と言い、「(ミサイル発射は)一種のはったりだと思う」と語った。またニューヨークに住むローザさん(26)は「脅威が本物なのかどうか分からない」と述べた。

 一方で、年配の住民は概してミサイル発射実験をもっと厳粛に受け止めている。核兵器を保有する西側陣営と旧ソ連陣営が数十年にわたり対立した冷戦時代には、核攻撃に関する公共広告や訓練、核シェルターの存在が身近だったからだ。冷戦時代のピークには、ニューヨーク市内に1万7000か所以上の核シェルターが設置されていた。

 機械工のスティーブンさん(71)は、北朝鮮の核兵器やミサイル開発計画の前進に不安を感じているとし、「開発がどんどん進んでも誰も何も言わず、もう(北朝鮮は核兵器を)持ってしまっている」と述べた。スティーブンさんは、気まぐれな金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長も心配だが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領も同様に不安だと述べ、トランプ氏の攻撃的なリーダーシップや予測不能な言動では、危機を鎮めることはできないと悲観している。

 デービッドさん(62)は、北朝鮮による一連の挑発行動を受け、10歳の時に空爆から身を守るために行った「地区全体にサイレンが鳴り響く」避難訓練を思い出すようになったと言い、「非常に懸念している。われわれの心の奥には常に911(米同時多発攻撃)がある。ここは標的なんだ」と語った。