■音の渓谷

 ベロ氏によれば、マンハッタンでは立ち並ぶ高層ビルが「音の渓谷」となり、これにより騒音の影響が増してすべてをうるさくしているのだという。

 環境心理学者でニューヨーク市立大学(City University of New York)のアーリーン・ブロンザフト(Arline Bronzaft)名誉教授は、騒音の悪影響と対策の必要性について以前から訴えてきた。

 今回のプロジェクトを歓迎する教授は、騒音のレベルがニューヨーカーの行動に影響していると語る。「人々が速く歩く理由の一端は、騒音から遠ざかるため。大声で話すのは、騒音に負けないため」と説明した。

 今回の調査で得られた最初のデータからは、市内の騒音状況が報告されている以上に深刻であることが分かった。少なくとも建設工事の騒音については、ホットラインに寄せられている以上の問題が確認された。

 騒音のひどい街は何もニューヨークだけではない。だが、解決策を模索するのにこの街は「完璧な実験場」だとベロ氏は話す。ここで解決策を見いだすことができれば、米国や世界の他の都市でもそれを応用することは可能なのだという。

 世界のどの街でも、この問題に応用できるような核となる技術を開発すること──それが最終目標だと同氏は話した。(c)AFP/Catherine TRIOMPHE