【7月30日 AFP】南アフリカの2010年サッカーW杯(2010 World Cup)決勝戦が行われたFNBスタジアム(FNB Stadium)で29日、高い人気を集めていたサッカーの試合の観客が人混みに押しつぶされ、2人が死亡、17人が負傷した。負傷者のうち1人は重傷だという。警察と主催者が明らかにした。

 ヨハネスブルク(Johannesburg)の南にある同スタジアムでは、いずれも同国ソウェト(Soweto)を拠点とする南アフリカで最も人気の高い2チーム、カイザー・チーフス(Kaizer Chiefs)とオーランド・パイレーツ(Orlando Pirates)のシーズン前の試合が行われていた。

 警察の報道官はAFPに対し「2人の死亡を確認できる」と述べ、スタジアムに大勢の人が入ろうとした際に2人が死亡し、複数の負傷者も出たと語った。

 サッカー情報サイト「キックオフ(KickOff)」は、試合を主催したビールのブランド、カーリング・ブラックラベル(Carling Black Label)の声明を掲載。これによると「大勢の人が押し合って無理にスタジアムのゲートを通ろうとした」ために1人が重傷、16人が軽傷を負い、「鈍器で殴られたような外傷で2人が死亡した」という。

 チケットは試合の2週間前に売り切れ、地元メディアは偽物の入場券が出回っていたようだと報じた。また別の専門家はファンが試合開始後に遅れて入場する傾向があると述べた。

 現場にいた国営南アフリカ放送協会(SABC)のインターンのビデオジャーナリストは、事故は試合開始直後に起きたと語った。スタジアムのゲートを通ろうとする人があまりにも多く、スタジアムの警備員は警察に応援を要請せざるを得なかったという。

 またこのビデオジャーナリストは目撃者から聞いた話として、試合開始から15分後の時点で大勢の人が急いでスタジアムに入ろうとしており、中には怒っている人や酒に酔っている人もいたと語った。

 この悲劇にもかかわらず試合は続行され、カイザー・チーフスが1-0で勝った。(c)AFP