【7月27日 AFP】科学技術の進歩により、自動車の化石燃料は数十年以内の段階的廃止となる可能性が高まっているが、電気自動車への切り替えそのものにも環境面や経済面での懸念は存在している。

 世界の多くの国で「脱石油」の流れが目立ち始めている中、英国は26日、2040年までに「従来のガソリン車とディーゼル車すべての販売を終了」する方針を発表した。今月初めには、フランスも二酸化窒素(NO2)による大気汚染への対策として、同様の発表を行ったばかりだ。

 さらには中国も昨年、2020年までに新規販売自動車の12%を電気自動車(EV)またはプラグインハイブリッド(PHV)とする計画を発表しており、他方でインドも2030年までにすべての販売車をEVにするとの目標を明らかにしている。

 話を欧州の国に戻すと、ノルウェーが2025年までにガソリン車とディーゼル車の新規販売を終了させる方針を示している他、スウェーデンやデンマーク、フィンランドなどでも、化石燃料車を段階的に廃止するという同様の目標を掲げている。

 米ヨーク大学(University of York)のアラステア・ルイス(Alastair Lewis)教授(大気化学)は、「充電装置や電気自動車の技術が過去10年間と同じペースで向上すると仮定すれば、自家用車に搭載されている小型内燃機関は、政府の介入がなくても姿を消す可能性がある」と指摘している。

■「大胆な賭け」

 しかし、自動車市場などを研究する仏経済研究団体「Observatoire Cetelem」のエコノミスト、フラビアン・ヌビ(Flavien Neuvy)氏は、2040年までにEVばかりになると示唆することは「大胆な賭け」だと話す。

 同氏はAFPの取材に対し、「内燃機関が2040年に禁止されるということは、われわれが最も効率の良い技術を2040年に把握しているということが大前提となる」としたうえで、「それは大胆な賭けだ。というのも、環境という観点で見ると、現在2リットルの燃料で100キロ走行できる自動車が存在することからも明らかなように、燃焼機関が優位に立つ可能性もあるからだ」と語った。

 また、従来のエンジン搭載車両よりも高価なことや、天然ガスや水素といったその他のオプションが存在していることも大きなファクターとして挙げている。

 それでも、EVについては「現在よりも効率性がはるかに向上する」と予想しており、平均走行距離が現在の250~300キロから400~500キロへと改善すれば、普及には「十分」だと説明した。