【7月24日 AFP】(更新)ヨルダンの首都アンマン(Amman)のイスラエル大使館で23日、発砲があり、ヨルダン人2人が死亡、イスラエル人1人が負傷した。イスラエルとヨルダンの複数の当局者によると、イスラエル人警備員が工具のドライバーを武器に襲ってきたヨルダン人の男1人を射殺したが、現場に居合わせた別のヨルダン人男性も負傷し、その後死亡したという。

 イスラエル外務省によれば、射殺されたヨルダン人の男は、大使館別館の住居ビルの一室に家具を取り付けるため来館していたが、突然、警備員の背中をドライバーで刺したという。同外務省と現地治安当局筋によると、警備員は応戦して男を射殺したが、家具取り付け作業が行われていた部屋の持ち主の男性が現場に居合わせ、負傷。その後けがのため死亡したという。外務省は、警備員は軽傷を負ったと発表している。

 一方、ヨルダンの治安当局はこれに先立ち、死亡したヨルダン人のうち1人は17歳の少年で、現場で死亡が確認され、もう1人は現場に居合わせた男性医師で、搬送先の病院で24日午前0時過ぎに死亡したと発表。負傷したイスラエル人は大使館の警備担当副責任者だとしていた。

 また、現地警察は、大使館敷地内の住居ビルで23日夜に発砲があり1人が死亡、2人が負傷したが、ヨルダン人2人は「大工仕事」のため建物内にいたと説明していた。

 イスラエルとヨルダンは1994年に平和条約を交わしたが、イスラエルが併合した東エルサレム(East Jerusalem)にあるユダヤ、イスラム両教にとっての聖地で新たな警備強化策が導入されたことを受け、ここ数日間は両国間の緊張が高まっている。

 イスラエルは14日、エルサレム旧市街(Old City)でアラブ系イスラエル人らが警官2人を襲撃し殺害する事件が起きたことを受け、現場近くにある聖地「神殿の丘(Temple Mount)」(イスラム呼称は「ハラム・シャリーフ(Al-Haram Al-Sharif)」)への立ち入りを制限した。

 ヨルダンはエルサレムのイスラム教聖地の公式な管理国。アンマンでは21日の金曜礼拝の後、ヨルダン人数千人がイスラエルの措置を非難する街頭デモを行った。(c)AFP