【7月20日 AFP】地球上でこれまでに生産されたプラスチック製品は83億トンを超え、そのうち63億トンがごみとして廃棄されたとの報告を、米大研究チームが19日の米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に発表した。回収されたプラごみの79%は埋め立て処分されるか海洋などの自然界に投棄され、リサイクルされたのはわずか9%にすぎないとしている。

 研究チームによると、2015年までの記録に基づいた今回の研究は「大量生産された全てのプラスチックに関する、初の世界規模での分析」だという。

 報告書は、このままのペースでプラスチック廃棄物が増えれば「2050年までに、120億トン以上のプラスチック廃棄物が埋め立て処分されるか、自然界に投棄される」と指摘し、今後さらに悲惨なシナリオが待ち構えていると警鐘を鳴らしている。

 120億トンは、米ニューヨーク(New York)のエンパイアステートビル(Empire State Building)の重さに換算して約3万5000個分に相当する。

 論文を共同執筆したジョージア大学(University of Georgia)工学部のジェナ・ジャンベック(Jenna Jambeck)准教授は「常識的に考えて、大半のプラスチックは生物分解されない。人類が生み出したプラスチックごみは何百年も何千年も残ることになる」と述べ、次のように強調した。

「今回の試算は、私たちが使っているプラスチック製品や、ごみ処理の慣行について、批判的に考える必要があることを明示している」

 報告によれば、プラスチックの世界生産量は、大量生産が始まった1950年には200万トン余りだったが、2015年には約4億トンに激増した。これは鉄鋼やセメントを除き、ほとんどの人造物質を上回る増産ペースだ。また、1950~2015年に生産されたプラスチックの約半分が過去13年間に生産されたものだという。(c)AFP/Kerry SHERIDAN