【7月20日 AFP】ツール・ド・フランス(2017 Tour de France)は19日、第17ステージ(ラ・ミュールからセール・シュヴァリエ、183キロメートル)が行われ、今大会でステージ5勝を挙げ、最強スプリンターの証しであるマイヨ・ヴェール(グリーンジャージー)を維持していたクイックステップ・フロアーズ(Quick Step Floors)のマルセル・キッテル(Marcel Kittel、ドイツ)が落車で大会をリタイアした。

 29歳のキッテルがリタイアしたことについて、クイックステップはツイッター(Twitter)に、「また悲しいニュースに見舞われた。グリーンジャージーを守り、今大会で5勝を記録していたキッテルが、クロワ・ド・フェール峠(Col de la Croix de Fer)の頂上でレースを終えた」と投稿した。

 今ステージの20キロメートル付近で遭遇した落車により、キッテルは出血するけがをしたほか、チームカーにつかまってレースを続けながらシューズを履き替える必要に迫られるなど、それまでの絶好調から一気に奈落の底に転落してしまった。

 チームスカイ(Team Sky)のクリス・フルーム(Chris Froome、英国)を含めたメイン集団は、ペースを落としてキッテルを待ったものの、2級山岳のドルノン峠(Col d'Ornon)の上りに差しかかると、キッテルは集団から遅れ始めてしまった。

 さらにゴールまで100キロメートル以上の距離がある超級山岳のクロワ・ド・フェール峠に入り、24キロメートルに及ぶ厳しい上り坂で失速したキッテルは、時間内にフィニッシュラインを超える可能性がなくなりレースを断念した。

 クイックステップはまた、「パリ(Paris)には到達できなくても、今大会で記録した素晴らしい勝利は永遠だ。ありがとう、@marcelkittel(マルセル・キッテル)!」とメッセージをつけ加えている。

 ツールでのステージ優勝回数で、ドイツ勢としては通算12勝のエリック・ツァベル(Erik Zabel)氏を抜いて歴代1位の14勝を記録したキッテルは、ポイント賞争いでチームサンウェブ(Team Sunweb)のマイケル・マシューズ(Michael Matthews、オーストラリア)に一時は128ポイント差をつけ、グリーンジャージーを制するのは確実と思われていた。

 しかし、最近の4ステージで決死の走りをみせ、29ポイント差まで接近していたマシューズが、この日の中間スプリントでキッテルに9ポイント差まで肉薄。平坦コースを2ステージ残してキッテルがグリーンジャージー獲得に優勢とみられていたなかで、20日に行われる第18ステージの中間スプリントで20ポイントを上積みすれば、マイヨ・ヴェールを奪取する可能性があった。

 キッテルのリタイアにより、第18ステージではマシューズがグリーンジャージーを着用してレースに臨むことになった。ポイント賞争いでは、2位につけるロット・ソウダル(Lotto Soudal)のアンドレ・グライペル(Andre Greipel、ドイツ)に160ポイント差をつけており、パリでゴールを迎える最終ステージを無事に終えれば、マイヨ・ヴェールを制するのは確実とみられる。(c)AFP