【7月20日 AFP】自転車ロードレースを代表する元ロードレーサーで、ドーピング違反によりツール・ド・フランス(Tour de France)のタイトルをすべて剥奪されたランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏が、ポッドキャストの番組「ステージズ(Stages)」で今季のレース展開を解説しているほか、米「アウトサイド(Outside)」誌にブログを寄稿している。

 1999年から2005年にかけてツール・ド・フランス7連覇を達成しながら、長い間否定してきた運動能力向上薬の使用を認めた45歳のアームストロング氏は、再び自転車競技の仕事に携わることについて、イメージを大きく傷つけられた同業界の一部から批判が出ているものの、自身のフェイスブック(Facebook)に投稿したポッドキャストの動画や写真では220万人以上から「いいね」を集めている。

 アームストロング氏はまた、「ステージズ」に続き週一回の番組「ザ・フォワード(The Foreword)」で、ゲストと一緒に音楽をはじめ、政治や自転車以外の話題についてトークを繰り広げている。

 これがきっかけでアウトサイド誌はアームストロング氏とタッグを組んだものの、同誌の副会長や編集者のクリストファー・キース(Christopher Keyes)氏は米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に対し、ブログにギャラは支払っていないと話した。

「自身の経験を基に、ツールについて素晴らしい解説をしてくれることを信じていただけ」と説明したキース氏は、スキャンダルで失脚して長い年月が経過してからも、政界に影響力を及ぼしていたリチャード・ニクソン(Richard Nixon)元大統領を引き合いに、「ニクソン氏でさえも、外交政策に関して貴重なご意見番になっていた」と語った。

 名誉が失墜した米スポーツ界の英雄で、解説の仕事をしているのはアームストロング氏が初めてではない。米大リーグ(MLB)の元スター選手で、運動能力向上剤を使用していないと偽っていたアレックス・ロドリゲス(Alex Rodriguez)氏や、歴代最多安打記録を保持しながら野球賭博への関与で球界から永久追放となっているピート・ローズ(Pete Rose)氏も、現在はテレビ番組の解説者として活躍している。

 しかしアームストロング氏は、テレビ中継に距離を置いた立場で自転車レースに関わることでさえも、永遠に否定的な態度を取る人々がいることをわきまえており、自転車雑誌バイシクリング・マガジン(Bicycling Magazine)に対して、「そのことに反発するつもりはない。自分としては前進して、『申し訳ない。理解しているが、私は前に進んでいく』と言うしかない」と語った。(c)AFP