■紛争の生々しい傷跡

 モスル東部では、道路は混み合い、店やレストランが営業を再開している。一見すると、人々は日常生活を取り戻したかのようだ。一方、被害の規模が大きかった西部地域でも、少しずつではあるが生活再建の動きが見られる。ところどころでがれきが取り除かれているほか、下水道の修復で道路が掘り起こされて新しいパイプが地中に設置されている。

 大規模な再建計画の開始を待つ間、住民らはこの状況と上手に付き合っていく必要がある。現在は、電力を近隣の発電機に頼り、また水は非政府組織(NGO)がタンクを乗せたトラックで供給している。

 他方で、NGO「ノルウェー難民委員会(Norwegian Refugee Council)」のイラク支部によると、複数の支援グループが約1万2700家族に対し、角材、合板パネル、防水シートなどの「建築キット」を配布したという。

 モスル西部に住むマナフ・ユニスさんの家屋にも紛争の生々しい傷跡が残されている。家のすぐそばには、爆発した車の残骸が放置されており、この時の爆発で家の窓が割れ、バルコニーも一部壊れた。浴室の壁に開いた穴は板でふさがれていた。

 家の外には、セメントの入った袋とコンクリートブロックが積まれていた。ユニスさんは「少しずつ建てていったのに」と憂鬱(ゆううつ)そうに述べ、そして、また作業を再開するときが来たと続けた。(c)AFP/Tony Gamal-Gabriel