■軌道修正の可能性

 ただし、大統領が軌道修正することは可能だ。ビル・クリントン政権の1期目が波乱に満ちていたことは周知の事実で、クリントン氏もトランプ氏と同じく就任から間もなく医療制度関連の法案成立に失敗し、窮地に陥った。

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領に仕え、現在はPRコンサルティング企業ファイアハウス・ストラテジーズ(Firehouse Strategies)でストラテジストを務めるアレックス・コナント(Alex Conant)氏(共和党)は「歴史を見れば、失敗から学び、重要な立法を成し遂げた大統領はいくらでもいる」と指摘する。

 さらにコナント氏は「結局のところ、大統領は何を成し遂げたかで評価される。彼はまだ就任から6か月だ。多くを成し遂げるだけの時間はまだまだ残されている。大統領として偉大な業績を残す可能性もまだある」とした。

 一方、バージニア(Virginia)州シャーロッツビル(Charlottesville)市市長でバージニア大学(University of Virginia)講師のマイケル・サイナー(Michael Signer)氏(民主党)は、トランプ氏には、伝統的な規範と相互監視の仕組みを受け入れる姿勢を示すことが必要だと指摘。「それを拒めば拒むほど、支持率は下がり、大統領としての正統性は低下し、より絶望的な状況に陥る」との見方を示した。

 トランプ大統領の支持率はすでに40%という歴史的な低水準にあり、変化がなければ、2018年の中間選挙での惨敗につながりかねない。

 ジライザー教授は「上下両院のいずれか、または両方で民主党が議席を増やすか、過半数を取ることがあれば、大統領は危機に陥る」と述べ、トランプ氏弾劾などの大規模な抵抗があるとの見通しを示した。

 さらに同教授は「彼は追い詰められたと感じれば感じるほど、対話姿勢を取らなくなる。怒りに駆られ、やられたらやり返すという態度に出るだろう。大統領執務室が平静を取り戻すことも、整然とすることもないだろうし、状況が加熱すれば、さらに醜い事態になるはずだ」と語った。(c)AFP/Andrew BEATTY