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動画:根強い人種差別と戦う、韓国初の黒人メンズモデル

2017年7月17日 16:58 発信地:ソウル/韓国

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【7月17日 AFP】16歳の男性モデル、ハン・ヒョンミン(Han Hyun-Min)は、その長い脚と力強いウォーキングによって、母国・韓国のランウェイで一躍、時の人となった。しかし彼のモデル事務所は、単一民族国家であるこの国では、問題が生じ得ることも分かっている。ハンの父親はナイジェリア人なのだ。

 彼は人種差別が根強く、異人種の人々が一般的に「混血」と呼ばれる社会に身を置いている。「ハンのように浅黒い肌を持つモデルは、韓国では聞いたことがない。彼を雇うのは大きな賭けだった」と代理人のヨン・ポム(Youn Bum)は語る。今やハンは韓国初の黒人ファッションモデルとして人気雑誌のモデルを務めている。

 韓国は、独自のポップカルチャーによってアジア中に旋風を起こす一方で、モダンかつ洗練された、テクノロジーに精通した国家というイメージ育成を何年も模索していた。しかし一見すると文化的にも成熟している経済大国という表の顔とは裏腹に、根深い人種差別が社会の中には存在する。10年間で2倍以上に増えた移民人口も、総人口のたった4%だ。韓国に住む外国人のほとんどは、中国や東南アジアからの移民や移民労働者か、田舎暮らしをいとわない配偶者を地元で探すことに失敗した地方の男性たちの元に嫁いできた女性たちだ。

 人種差別は、横行している。外国人が公共交通機関において公然と「汚い」「臭い」などとあざけりを受けたり、おしゃれなレストランや公衆浴場への入場を断られたりすることもある。2015年の政府の調査によると韓国人の25%は、外国人に隣に住んでほしくないと回答している。米国での5.6%や中国での10.5%より、はるかに高い数字だ。異人種同士を親に持つ子供たちはしばしば学校でいじめられ、雑種の動物を意味する軽蔑した呼び名で嘲笑の対象となる。人付き合いの難しさや職探し、配偶者探しなど、人生の多くの面におけるチャンスの乏しさを訴える人も多い。そしてハンもその例外ではない。

■「僕は透明な存在になりたかった」

「僕が学校でほかの子どもたちと遊んでいると、何人かの母親はあんな子と遊んじゃ駄目よ、と言って突然彼らを僕から遠ざけた」とAFPの取材にハンは明かす。人前でじろじろと見られることも日常茶飯事だった。一度、年配の女性にこう尋ねられたこともあるという。「よその国であなたはいったい何をしているの?」

「僕は透明な存在になりたかった」とハンは言う。「みんなの中で目立ってしまう自分の外見が嫌いだった」。そんな中、ハンはファッション界に逃げ場を見つけた。モデルのオーディションに参加し、代理人のヨンに見いだされるまで自分の写真をSNSに投稿し続けた。当時14歳だったハンの「目の覚めるような」ウォーキングをソウルの通りで5分間見せられたヨンは、即座に契約を交わした。

「ファッションモデルになったことは、僕にとてつもない自信を与えてくれた」とハンは語る。「今は他人から見られることを、恥ずかしがったり戸惑ったりせずに楽しんでいる」。ハンは人種的にさまざまなルーツを持つ子供たちの模範になりたいという。「もっと成功したい。自分のためだけでなく、僕が代表するほかの人々のためにも」

■ソウル・ファッションウィークで鮮烈デビュー

 初めのうち、ハンはデザイナーやファッション誌の編集者たちから避けられた。中には浅黒い肌のモデルは「悪運」を招くとあからさまに非難し、「浅黒い肌のモデルはいらない」「韓国人でないモデルとは、金髪に碧眼を持つ白人モデルのことだ」と言う者もいたという。

 しかし少数のデザイナーたちはハンの独特でカリスマ的な外見に引かれ、昨年のデビュー後、ソウル・ファッションウィークでは、30以上ものショーに出演することとなった。初心者モデルにとっては異例の数だ。ハンのスリムな体格は「アジア人モデルと欧米人モデルの良い部分を兼ね備えている」とハンをメンズラインに起用した「カオス・フロム・アンダーマインド(Chaos From Undermind)」のデザイナー、チェ・ヨンチェ(Cho Young-Jae)は語る。

 隣国の日本も同じような単一民族国家だとチェは言う。しかし、日本は移民の歴史が韓国より長く、外国人の親を持つスター級のファッションモデルがすでに大勢いる。だがたとえそうだとしても、アフリカ系米国人を父に持つ宮本エリアナ(Ariana Miyamoto)が2015年にミス・ユニバース・ジャパンに選ばれた際は、両親が日本人ではない女性が国の代表を務めることに対して公然と非難される事態が起き、日本社会における他民族の受け入れ態勢がいまだ限定的であることが露呈した。

■韓国社会がよりオープンになる未来へ

 韓国の学校教育ではつい最近まで、1つの人種と言語を何世紀も維持してきた「単一民族」であることを誇りに思うよう指導してきた。強い隣国、中国や日本による侵略が繰り返されたことが、被害者意識と激しい民族感覚を強めたと多くのアナリストは指摘する。それに加え、韓国の極端な競争文化には「金と権力を崇拝し、それを持たない者を軽蔑する傾向がある」とソウルの国民大学校(Kookmin University)の社会学教授、チェ・ハンソプ(Choi Hang-Sub)は述べている。

「このルールは外国人にも適用される」とチェ教授はAFPの取材に答えた。「先進国からやって来た白人は心から歓迎されるが、途上国出身と見なされた人々は容赦なく見下される」。韓国南部では、テレビやその他の公共の場に登場する外国人や多民族のルーツを持つ人々が増えてきている。だが、そのほとんどは白色人種であり、その外見は多くの韓国人から「美しい」と好印象を持たれている。

 しかし、SNSではハンに好意的な意見もある。そのうちの1人は「彼には良いオーラがある」と言う。「私たちの社会が、彼のような人々をもっと受け入れるようになっていってほしい」。(c)AFP

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