【7月15日 AFP】リオデジャネイロ五輪の陸上男子4×400メートルリレーで金メダルを獲得した米国のギル・ロバーツ(Gil Roberts)について、ドーピングに陽性反応を示したのは恋人との口づけで禁止薬物を体内に取り込んだことが原因だと判明し、潔白であることが示された。

 米国反ドーピング機関(USADA)がロバーツの疑いを晴らした13日の最終報告書によると、同選手の不正が疑われたのは、恋人のアレックス・サラザール(Alex Salazar)さんが使用していた鼻炎治療薬にマスキング剤として禁止されているプロベネシド(probenecid)が含まれていたことが原因だったとしている。

 ロバーツが薬物検査で陽性となった今年3月24日の数週間前、サラザールさんは家族とインドの田舎を訪れており、そこで入手した鼻炎薬に禁止薬物が含まれていたという。錠剤が飲み込めないため、カプセルの中身を取り出して水に薄めて摂取したサラザールさんは、帰国後にロバーツと会った際にも、プロベネシドが含まれた治療薬を服用していた。

 USADAは報告書の中で、「彼らは一緒にいるとき、情熱的にキスを繰り返していた」と説明。それは抜き打ち検査が行われた当日も同様で、ロバーツの尿サンプルが提出されたのは、サラザールさんが薬を飲んだ3時間後のことだったと明らかにした。

「ロバーツとサラザールさんの付き合いは2年にわたっており、これまでキスをしてもドーピング違反になったことはなかった。このため、恋人とキスして禁止薬物を取り込んでしまった今回の件は、ロバーツにとって青天のへきれきだったに違いない」

 恋人とのキスが原因だったと判明したのはこれが初めてだったものの、先月には不正の疑いが晴れて全米陸上選手権(US Track and Field Championships)に出場したロバーツは、男子400メートルで44秒22のタイムを記録して2位に入り、第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)の出場権を獲得した。(c)AFP