【7月14日 AFP】地球温暖化に伴う気温上昇の影響で、飛行機の離陸が今より困難になるとの研究を13日、米コロンビア大学(Columbia University)のチームが発表した。温室効果ガスの排出量を抑制しない限り、今後数十年のうちに、特に暑い日には燃料や乗客、貨物の積載重量を最大4%削減しなければ離陸できない場合が生じると警告している。

 コロンビア大博士課程のイーサン・コフェル(Ethan Coffel)氏が主執筆者を務め、学術誌「クライマティック・チェンジ(Climatic Change)」に掲載された研究によると、猛暑の日の最も暑い時間帯には、最大積載量まで積んだ航空機の10~30%は燃料・貨物・乗客を減らすか、気温が下がる時間帯まで離陸を待たなければならなくなる可能性があるという。

 たとえば現在運行されている座席数160席前後の旅客機の場合、4%の積載重量削減は、乗客を12~13人減らすことを意味する。

 気温が上がると空気の密度は低くなり、翼が生み出す揚力が小さくなる。気温が高すぎる環境では、航空機の機種や滑走路の長さなど条件によっては満載状態では安全に離陸できないおそれがある。特に、熱波の襲来時には問題が顕著になるという。

 実際、米アリゾナ(Arizona)州のフェニックス・スカイハーバー国際空港(Phoenix Sky Harbor International Airport)では先月20日、気温49度を記録し、安全基準を上回ったため、計43便が離着陸を見合わせる事態が起きた。

 研究では、世界各地の空港の日最高気温は2080年までに年平均4~8度上昇すると予測している。また、海面上昇により一部の主要空港は水没しかねないという。

 気候変動が航空機に及ぼす影響については、飛行に危険な乱気流などが増え、目的地までの所要時間が長くなる可能性が以前から指摘されている。(c)AFP