【7月12日 AFP】北朝鮮政府が中国との国境管理を厳格化したことを受け、今年上半期の脱北者の数が激減した。韓国の統一省が12日、明らかにした。

 朝鮮半島を二分する軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)は、世界でも有数の堅固に要塞化された場所で、韓国を目指す脱北者のほぼ全員が最初に中国を目指す。中国内で捕まれば本国に送還される危険はあるが、中国からさらに第三国を経由して韓国にたどり着く。

 韓国統一省の統計によると、今年6月までの半年間に韓国入りした脱北者の数は593人で、前年同期から20.8%減少した。

 脱北者の85%は女性が占めている。男性は脱北を試みても、職場で不在がすぐに発覚してしまう。

 韓国政府が資金提供している韓国統一研究院(Korea Institute for National Unification)の報告書によると、北朝鮮は2015年末に国境管理を厳格化し、中国との国境を流れる豆満江(Tumen River)沿いに高圧電流が流れるフェンスを設置した。

 これまでに計3万805人が北朝鮮から韓国に逃れており、その多くは1990年代の飢饉(ききん)の際に脱北した。

 脱北のピークは2009年で、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が2011年に父の後を継いで権力の座につき、脱北者の取り締まりを命じたとされる頃からその数は減少している。(c)AFP