【7月10日 AFP】廃虚と化した建物から姿を見せた、疲れ果て、悲嘆に打ちひしがれた女性や子どもたち――イラク北部モスル(Mosul)の奪還作戦が最終局面を迎える中、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が拠点としてきた旧市街(Old City)の端では、避難してきた15人ほどが灼熱の太陽を避けるように路上の日陰で身を寄せ合っていた。

 旧市街の中心部では、まだ自動小銃や迫撃砲の音が鳴り響いていた。壁に寄りかかって静かにうずくまっていた20代の女性が突然、路上に身を折り、たまたま近くにいた兵士に縋るように苦悩を打ち明け始めた。

 この女性は、ほんの1時間前に爆撃で7歳の息子を失ったばかりだった。数か月にわたりISから隠れて旧市街で暮らし、やっと退避できると一家で準備をしていた矢先だった。「お母さん、泣かないで」と弟の血で染まった服を着た10歳の娘が女性を慰めていた。

 50代の女性は、自分たちを襲ったこの4か月間の試練について話すうちに泣き出した。女性の家族はIS戦闘員の監視の中で「ほとんど飲まず食わず」で地下室に身を潜め、ひたすら戦闘に巻き込れないよう祈っていたという。

 この一家は、イラクの治安部隊が自宅前の通りをどうやら制圧したようだとみて、数週間ぶりに屋外へ出て空を見上げた。自由を求め、急いでその場を離れようとしたとき、女性の兄が狙撃された。兄は病院に運ばれたきり、どうなったか分からないという。

 近くの路上には、ターコイズブルーの服を着た3歳ぐらいの女児が1人でぽつんと立っていた。茶色の髪の毛はぼさぼさで、半分だけ水の入ったペットボトルを持っている。「誰の子どもだ」と兵士が叫んだが、周りの女性は皆取り乱した様子で、誰も返事をしなかった。

 国連(UN)の発表によると、モスルでは昨年10月に奪還作戦が始まって以降、約91万5000人が自宅を追われて避難を余儀なくされた。このうち70万人が今も戻れずにいるという。(c)AFP/Emmanuel Duparcq