■人類の起源はチャド? ブルガリア?

 スパソフ教授によると、これまで最古のホミニンは2001年に西アフリカのチャドで見つかった「サヘラントロプス(Sahelanthropus)」だと考えられてきた。サヘラントロプスは約700万年前に生息していたとみられている。

 しかし今、スパソフ教授らは、ギリシャとブルガリアで見つかったグラエコピテクスが最古のホミニンだと考えている。「2つの発見物は(サヘラントロプスよりも)数十万年前のものだから」だ。同教授によると、グラエコピテクスの雄の体重は約40キロで、現代の雌のチンパンジーと同程度。大きく力強い顎を持ち、樹皮やクリをかむことができた。「直立歩行していたと仮定することもできる」という。

 しかしスパソフ教授の説は証拠が欠けているとして科学界で広く批判されてきた。それゆえ教授はさらなる証拠を求め、ブルガリアのルプキテで発掘作業を続けている。「何でもいいから、最古の人類について私たちの仮説を裏付け、さらに明らかにしてくれる骨格の一部を、できれば骨盤、寛骨、顎骨、頭蓋骨を探している」(c)AFP/Diana SIMEONOVA