【7月9日 AFP】ドイツ北部ハンブルク(Hamburg)で開催されていた主要20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の長女イヴァンカ(Ivanka Trump)氏(35)が一時的にトランプ氏の席に座っていたことが明らかになった。トランプ大統領はホワイトハウスの要職に次々と身内を採用して非難されてきたが、この一件でトランプ氏の縁故主義に対する批判が再燃の様相を呈している。

 米大統領補佐官を務める元ファッションモデルのイヴァンカ氏は8日、トランプ大統領が離席した際にドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相、英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領らが顔を並べるG20会合のテーブルに着席。米ホワイトハウス(White House)や各国外交当局者らもこの事実を認めた。

 あるホワイトハウス高官はAFPに、イヴァンカ氏は会議室の後方に控えていたが、トランプ大統領が所用で席を外したため「一時的に」首脳らと同じテーブルに着いたと語った。イヴァンカ氏が着席したのは、世界銀行(World Bank)のジム・ヨン・キム(Jim Yong Kim)総裁が支援地域の一つであるアフリカの開発問題について話し始めたときだった。この高官によれば、他国の首脳が離席したときも、その国の関係者が代理として首脳の席に座っていたという。

 だが、ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)受賞経験のある米歴史家アン・アップルバウム(Anne Applebaum)氏は「選挙で選ばれておらず、適性もなく、心構えもできていないニューヨーク(New York)社交界のお嬢さま」が「米国の国益を代弁するに最適な人物」とみなされるとは、とツイッター(Twitter)で非難した。

■イヴァンカ氏の不運は「私の娘だったこと」

 イヴァンカ氏「着席」の件があった同日、トランプ大統領は女性実業家支援の資金調達に関する会合で各国首脳を前にイヴァンカ氏を褒めちぎっている。「私は娘のイヴァンカを心から誇りに思っている。ずっとそうだった。彼女が生まれた時からだ」

 その一方で、自らの存在がイヴァンカ氏の人生を難しいものにしているなどと考えを巡らせ、「私の娘でなかったならば、彼女の人生はもっと楽だったはずだ。真実が知りたいならば、目下のところ彼女の人生で唯一の悪運は私の娘であることだろう」と述べ、気まずい笑いを誘っていた。(c)AFP