【7月8日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がメキシコ国境への壁建設を繰り返し主張している一方、米国土安全保障省のジョン・ケリー(John Kelly)長官は7日、訪問先のメキシコでミゲル・アンヘル・オソリオ・チョン(Miguel Angel Osorio Chong)内相と会談し、移民や麻薬密輸など両国の立場が一致する点を見出す姿勢を示した。

 ケリー長官は「米国とメキシコの関係がそれぞれの国にとって重要であることは、いくら強調しても足りない」述べ、融和的な態度で3日間のメキシコ訪問を締めくくった。オソリオ内相も、武器密輸や国境を超える組織犯罪などの問題で両国の見解が一致していることを強調した。

 しかし、ケリー長官の発言の数時間前には、独ハンブルク(Hamburg)で主要20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)に出席したトランプ大統領が、メキシコ国境の壁の建設費をメキシコに払わせたいとまだ思っているかとの質問に「もちろんだ」と答え、メキシコ側の神経を逆なでした。

 トランプ大統領はその直後、壁建設計画をめぐる対立を理由に1月の訪米をキャンセルしたメキシコのエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領とハンブルクで初の公式会談に臨んだ。

 昨年の米大統領選の選挙期間中にトランプ氏は、メキシコ移民について「犯罪者や麻薬密売人、強姦魔」などと発言してメキシコとの関係を悪化させ、ペニャニエト大統領の訪米キャンセル時に両国関係は過去数十年間で最も冷え切っていた。

 もっとも、首脳会談に同席したメキシコのルイス・ビデガライ(Luis Videgaray)外相は、国境の壁建設の問題は事前の取り決め通りに首脳会談の場には持ち出されなかったと述べ、壁の建設費に関するハンブルクでのトランプ氏の発言のことは外相自身もペニャニエト大統領も聞いていなかったと明かした。(c)AFP