【7月6日 AFP】(更新)今週開催される主要20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)では、米中の両国首脳による協議が予定されているが、北朝鮮への対応をめぐり両国間のせめぎ合いは日ごとに激しさを増しており、うわべだけの友好関係は、今や崩壊寸前の様相を呈している。

 北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験では、同国のミサイルに米アラスカ(Alaska)州まで到達できる能力があることが示された。7日にドイツで開幕するサミットでは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と中国の習近平(Xi Jinping)国家主席による首脳会談が行われることになっているが、対北朝鮮政策における両国間の溝はさらに深まっている。

 4日のミサイル発射を前に、トランプ大統領はツイッター(Twitter)への投稿を通じて、核武装する北朝鮮の抑制に中国が失敗したと繰り返し批判していた。これに対し、公の場で厳しく叱責するよりも密室での外交交渉を好む中国の指導者らは、いら立ちを募らせた。

 そして米中関係のほころびは5日、さらに大きくなった。中朝間の貿易が急増しているとトランプ大統領がツイッターで指摘し、北朝鮮の抑制のために中国政府をあてにしたのは間違いだったと述べたのだ。

 トランプ大統領は、「中国と北朝鮮との間の貿易は、第一四半期で約40%伸びた。われわれに対する中国の協力はこんなものか。まあ、一度は試す必要があったが」と投稿した。

 一方の習主席は3日、トランプ大統領との電話会談で、北朝鮮と関係のある中国の銀行に対して米政府が制裁を発動したこと、さらには台湾に対し13億ドル(約1470億円)の武器売却を決めたことは、両国関係にとってマイナスに作用すると述べ、米国に対する不満をあらわにしていた。

 中国は、予測不能な北朝鮮の不安定化を避けるべく、慎重に対応を進めている。その背景には、北朝鮮の政権崩壊や難民の流入、あるいは米国に北朝鮮への攻撃を仕掛ける理由を与えてしまうなどの懸念事項がある。しかし北朝鮮のICBM保有が意味するものとは、行動を起こすための時間が中国にはもうあまり残されてはいない、ということなのかもしれない。