■軍事的選択肢は「誰も望んでいない」

 だが米軍上層部は、北朝鮮との武力衝突は非常に大きなリスクを伴うという見方を示している。

 ジェームズ・マティス(James Mattis)米国防長官は今年5月、外交努力によって状況を解決することができずに北朝鮮との間で軍事衝突が起きれば、1950年代の朝鮮戦争(Korean War)に匹敵する規模の「壊滅的な戦争になるだろう」と述べた。

 H・R・マクマスター(H.R. McMaster)米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は先週、「大統領は私たちにさまざまな選択肢を検討するよう指示した。その中には軍事的な選択肢も含まれるが、それを選ぶことは誰も望んでいない」と語り、軍事的解決も検討してはいるものの、かなりのリスクが伴うという認識を率直に示した。

 ミドルベリー国際大学院のルイス氏は、今トランプ政権が集中すべきことは、ミサイル発射実験をしないよう北朝鮮を説得することだと主張する。「緊張緩和策を考えながら対北朝鮮の抑止力強化に努めるべきだ」「弾道ミサイル防衛は、抑止力の一つになり得るかもしれない」

 米国はすでに北朝鮮からの脅威に備えて韓国に米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」を配備している。

 しかし中国政府はTHAADの韓国配備に猛反発し、韓国への経済制裁や外交ルートでの抗議などの措置を取ったため韓国の文大統領がTHAADの追加配備を中断したことから、この地域での米政府の安保政策は打撃を受けた。(c)AFP/Laurent BARTHELEMY