【7月4日 AFP】元ビートルズ(The Beatles)のポール・マッカートニー(Paul McCartney)さんが、ビートルズの楽曲著作権の返還を求めて起こしていた訴訟が和解に達した。

 マッカートニーさんは1月、ソニーの子会社「ソニーATVミュージック・パブリッシング(Sony ATV Music Publishing)」に対し、著作権の返還を求める訴訟を米ニューヨーク(New York)の連邦裁判所に起こした。

 マッカートニーさんの代理人のマイケル・ジェイコブズ(Michael Jacobs)弁護士は先週末、「非公開とした合意内容で和解に達した」と、連邦裁判事に伝え、訴訟の取り下げを求めた。双方の代理人からそれ以上のコメントはなかった。

 訴訟の焦点となっていたのは、米国の「1976年著作権法(Copyright Act of 1976)」だ。同法では、楽曲の原作者が一度手放した著作権を35年後に取り戻せると規定。1978年以前に制作された楽曲については、56年後に著作権が原作者に返還されると定めている。

 ただ、英裁判所は昨年12月、英ロックバンド「デュラン・デュラン(Duran Duran)」が同様に初期のヒット曲「リオ(Rio)」や映画007シリーズのテーマ曲となった「美しき獲物たち(A View To A Kill)」などの著作権返還を求めた裁判で、英国内では米国の法律は適用されないとして訴えを退けている。

 この訴訟では、ビートルズのデビュー曲「ラブ・ミー・ドゥ(Love Me Do)」が1962年に発売されてから来年で56年となることを受け、マッカートニーさんがソニーATVを相手取り訴えを起こしていた。

 ソニーATVは、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんやマービン・ゲイ(Marvin Gaye)さん、ボブ・ディラン(Bob Dylan)さんなど大物を含む多数のミュージシャンの楽曲の著作権を所有している。

 ソニーATVは、ソニーと故ジャクソンさんの共同出資で設立。ビートルズの楽曲の著作権は、マッカートニーさんとの雑談で音楽著作権の重要さを知ったジャクソンさんが購入していた。ジャクソンさんの死後、ソニーが残る50%の株式を遺産管理団体から買い取り、ソニーATVを完全子会社化した。(c)AFP