【7月2日 AFP】(写真追加)ブラジル連邦警察は1日、整形手術で顔を変えてまで30年近く逃亡していた南米有数のコカイン密売王、ルイス・カルロス・ダホッシャ(Luiz Carlos da Rocha)容疑者を西部マトグロソ(Mato Grosso)州ソヒーゾ(Sorriso)で逮捕したと発表した。

「ホワイトヘッド(White Head)」の異名を持つダホッシャ容疑者は「ビトル・ルイス・デ・モラエス(Vitor Luiz de Moraes)」に改名し、整形手術で顔を変えて警察から逃れながら、国際的な薬物取引を続けていた。

 警察は捜査員150人を投入して強制捜査を24回実施し、ダホッシャ容疑者とは別の場所で同容疑者の右腕とされる男も逮捕した。また、推計で総額1000万ドル(約11億2000万円)相当の高級車や飛行機、農場などの資産を差し押さえた。

 この作戦は、「目立たないよう陰に隠れて生活し、30年近く警察の捜査を逃れた」ダホッシャ容疑者の逃亡生活を踏まえ、幻のような性質を意味するポルトガル語にちなんで「Spectrum」と名付けられていたという。

 ダホッシャ容疑者はコカインの大規模な生産・密売網のトップだったとみられており、ボリビアやコロンビア、ペルーの密林地帯でのコカイン生産から、中南米はもとより米国や欧州にまでいたる密売まで手掛けていたとされる。また、サンパウロ(Sao Paulo)とリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の広域を支配する麻薬犯罪組織に対する最大級の供給元だった疑いも指摘されている。

 生産されたコカインは小型機でベネズエラ領空を経由し、ブラジル西部の人里離れた農場に輸送されていた。そこで特別仕様のトラックの秘密の貨物スペースに積み込まれ、ブラジル国内の大都市や諸外国に運ばれていた。

 ダホッシャ容疑者は、車や不動産、外国の銀行口座預金の形で約1億ドル(約112億円)の個人資産を保有しているとみられている。(c)AFP/Sebastian Smith