【7月1日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は6月30日、訪米した韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-In)大統領とホワイトハウス(White House)で会談した。会談後にホワイトハウスのローズガーデン(Rose Garden)で開かれた共同記者会見でトランプ大統領は、北朝鮮による核兵器開発の野望に対する米国の忍耐は尽きたと述べた。

 文大統領は、北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル開発にブレーキをかけるには北朝鮮政府との更なる交渉が必要だと主張していた。しかし人命への敬意を欠いていると北朝鮮政府を批判していたトランプ大統領は、北朝鮮との交渉に入るつもりはなく、むしろ制裁が状況を動かす最良の手段だと考えていることを明らかにした。

 共同記者会見でトランプ大統領は、「北朝鮮に対する戦略的忍耐の時代は失敗に終わった。長い間、この政策は失敗し続けていた。率直に言えば、もう(北朝鮮に対する)忍耐はなくなった」と述べた。

 トランプ大統領は文大統領の北朝鮮に対する姿勢を批判することは避けつつ、「米国は地域各国やその他の責任ある国々に対し、われわれと共に制裁に参加して北朝鮮政府により良い道を迅速に選択するよう要求し、長く苦しんできた北朝鮮国民がこれまでとは違う未来を持てるようにしようと呼び掛けている」と話した。

 文大統領はトランプ大統領が年内訪韓の招待を受け入れたことを明らかにした。しかし両首脳は北朝鮮の脅威に対する具体的な共同戦略を打ち出すことはできなかった。

 トランプ政権は、この数か月に何度もミサイル実験を行った北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)政権に対するいら立ちを隠せなくなってきている。また約1年半前に北朝鮮を旅行中に拘束された米国人学生、オットー・ワームビア(Otto Warmbier)氏が昏睡(こんすい)状態で解放されて米国に帰国し、その数日後に死亡したことで、米国では北朝鮮に対する怒りが高まっている。

 北朝鮮の同盟国である中国が金政権に圧力をかけることを期待していたトランプ大統領だが、先週になりその努力が失敗に終わったとの見方を示した。

 米国は北朝鮮の軍事的脅威から韓国を防衛するため現在韓国に2万8000人以上の米軍人を駐留させている。北朝鮮はこのところミサイル実験を繰り返しており、文大統領の就任後だけでも5回実施した。(c)AFP/Jerome CARTILLIER