【6月30日 AFP】英議会下院は29日、男性議員のネクタイ着用を免除する方針を明らかにした。英政界における「ファッション革命」といえるが、議員たちの反応は割れている。

 ジョン・バーカウ(John Bercow)下院議長は、「ビジネス服といえる服装でさえあれば、ネクタイを締めているか否かは必ずしも気にしなければならないことではないと思う」と述べ、男性議員の登院にネクタイ着用が不可欠だとは思わないとの見方を示した。

 ちなみに、ざわつく議員たちを前に「静粛に!」と声を張り上げる姿がよく知られているバーカウ議長は、この日は紫色の柄ネクタイを身に着けていた。

 この「ファッション革命」は、野党・自由民主党のトム・ブレイク(Tom Brake)議員が下院で答弁に立った際、あえてノーネクタイで臨んだのがきっかけ。これに対し与党保守党のピーター・ボーン(Peter Bone)議員から、ルールが変わったのかとの質問が出ていた。

 英議会に服装規定はないが、男性議員はジャケットにネクタイ、女性議員も男性と同程度のフォーマルな装いをすることが習わしとなっている。

 バーカウ議長の発言を受け、ブレイク議員はツイッター(Twitter)に「政策課題がブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)一色になるなんて誰が言った? 私はノーネクタイで#PMQ(英首相への質問時間、クエスチョン・タイム)に臨むという試みによって、伝統主義者らの目を覚ましてやった。革命だ!」と投稿した。

 一方、保守党のジェフリー・コックス(Geoffrey Cox)議員は、それほど喜ばしいことには思えなかったようで「ショックだ。ノーネクタイ。どうなることやら」とツイートした。

 この新方針は、これまでノーネクタイでの取材を断られてきた政治記者にも適用されるが、記者たちの反応もまちまちだ。英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)のクリストファー・ホープ(Christopher Hope)記者は、ツイッターに「ジョン・バーカウは一線を越えた。次は何だ。ショートパンツにビーチサンダルの議員か?」と書き込んだが、大衆紙サン(The Sun)のマット・デイサン(Matt Dathan)記者は「ついに19世紀から抜け出した」と評価した。

 バーカウ議長は今年に入り、事務官のかつら着用義務を廃止するなど、さまざまな議会改革を行っている。(c)AFP