【6月29日 AFP】(更新、訂正)ローマ法王庁(バチカン)の財務局長官(財務相)を務めるジョージ・ペル(George Pell)枢機卿(76)が29日、オーストラリアで複数の性的虐待罪で訴追された。豪警察が発表した。

 豪カトリック教会の最高聖職者の地位にあるペル枢機卿は、改めて容疑を強く否認する声明を出した。シドニー(Sydney)大司教区の声明によると、ペル枢機卿は「全ての疑惑を改めて強く否定した。法廷で自身の罪についてきっぱり釈明する日を心待ちにしている」という。

 シェーン・パットン(Shane Patton)警視副総監は、記者会見で「ビクトリア(Victoria)州警察が、ジョージ・ペル枢機卿を過去に行った性的暴行の罪で訴追した」と述べた。ペル枢機卿は審問のため、7月18日にメルボルン(Melbourne)の治安判事裁判所に出廷を求められた。

 一方でバチカン当局は29日、ペル枢機卿に休職願を承認したとの声明を発表したものの、ペル枢機卿が辞職するわけではないと強調した。

 ペル枢機卿を強く支持する今回の声明によると、フランシスコ(Francis)法王は経済改革に取り組んだ際のペル枢機卿の「誠実さ」を評価しており、ペル氏が虐待について繰り返し非難してきたこと、過去においてオーストラリア当局に協力してきたことを思い起こすことが重要だと語ったという。

 ペル枢機卿はこれまでに3度、児童への性的虐待を調べている王立委員会で証言しており、ビクトリア州で1970年代に児童性愛の聖職者への対処で「不手際があった」と認めている。

 ペル枢機卿は1966年にローマで司祭に叙品され、1971年にオーストラリアに帰国。国内で最高位のカトリック聖職者に上り詰めた。2014年、バチカンの財務の透明性を向上させるためフランシスコ(Francis)法王によって財務局長官に抜てきされた。(c)AFP/Glenda KWEK