【6月28日 AFP】イラクでカナダ軍特殊部隊の狙撃兵が、3540メートル離れた距離からイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員の狙撃に成功したとの報道を受け、クルド人民兵組織への「助言と援助」のみを行うとしていたカナダ軍のイラクにおける任務に疑問の目が向けられている。

 カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は27日の記者会見で、「有志連合におけるわれわれの同盟者を守ることは必要不可欠な任務の一つだと断言できる」と述べ、有志連合の兵士たちを守るために戦うこともカナダ軍の任務であるとする認識を示した。

 また、「これはカナダ国民として、およびイラク北部に展開する有志連合の一員としての責任に完全に沿ったものであり、今後もそれは変わらない」と主張した。

 AFPの取材に対してカナダ軍は、同軍の特殊部隊の狙撃兵が先月、「3540メートル離れた標的の狙撃に成功」したと認めた。

 また報道によると、先月、高層建築物の屋上に配置されていたこの兵士は、マクミラン(McMillan)のライフル銃「TAC50」を使用して、イラク軍の兵士を攻撃していたISの戦闘員を射殺したという。

 以後カナダの野党は、特殊部隊の任務がクルド人民兵組織への「助言と援助」のみだとする政府の主張に疑義を呈し、トルドー首相が議会の同意なく秘密裏に戦争を遂行していると非難した。

 トルドー首相率いる自由党は2015年の選挙で、ISに対するイラクでの空爆をやめるとの公約を掲げて政権の座についた。またカナダ政府は直接的な軍事介入よりもイラク軍の支援に回るという姿勢を示し、訓練を担う兵士の数を3倍の200人超に増員した。(c)AFP